土地を所有していない方が駐車場経営を始めるためには、さまざまな作業があります。

場所選びから始まりますが、駐車場経営を始められるまでの道のりは決して簡単なものではありません。

自身の努力だけでなく、不動産会社、金融機関の協力があって、初めてできる投資方法です。

今回は土地を所有していない方が駐車場経営を始めるまでの流れと方法を解説し、注意点も説明します。

この記事の最後にはオススメの駐車場経営方法も紹介しますので、ぜひご参考にしてください。

土地なしではじめる駐車場経営のメリットとデメリット

土地を所有していない方が駐車場経営を始める際のメリット・デメリットを解説していきます。

メリット

駐車場経営は他の土地活用方法と比べて、初期費用を抑えて投資可能です。

賃貸住宅経営を始める場合は、数千万円から数億円ほどの建築費が必要となりますが、駐車場経営の場合、土地の整備費用だけで済みます。

もちろん土地を購入する資金が必要となります。

しかし購入さえしてしまえば、さほど大きな費用が必要となることは少ないでしょう。

デメリット

駐車場経営する土地を金融機関からの融資で購入した場合は、毎月の返済をしなければなりません。

さらに、駐車場経営は利用者あっての事業となります。

利用者がいなければ、自身の預金や他収入から借入返済をしなくてはいけません。

投資に対して収入リスクがあるのが特徴でもあります。

駐車場経営を始めるまでの10項目を解説

駐車場経営を検討し始めてから開始するまでの作業としては、下記の10項目、

  • 土地を探す
  • 工事費用の相見積もりを取る
  • 収支計算を行う
  • 買付申込書を提出する
  • 銀行融資打診をする
  • 売買契約をする
  • 銀行と契約する
  • 決済をする
  • 工事を開始する
  • 不動産会社に管理委託をする

がありますので、解説していきます。

土地を探す

駐車場経営を始める場所を探していきます。

探し方としては、不動産会社に問合せするか、インターネットを利用して自身で探す方法の2種類です。

インターネットに掲載されている土地情報は、売れ残り物件が多い傾向があります。

「土地代金が高い」「高低差があり工事費用がかかる」などの要因があるケースが多いためおすすめできません。

そのため、不動産会社に問合せ方が良いでしょう。

不動産会社は、インターネットなどに掲載されていない土地情報を保有しているケースや、レインズといった、国交省から指定を受けた不動産流通機構が運営している土地情報サイトなどを閲覧できます。

参照:http://www.reins.or.jp/about/

レインズは有料のため、基本的には不動産会社や宅建業者、建築会社が利用しています。

一般人が閲覧できるインターネット上には掲載されていない不動産情報がたくさんありますので、不動産会社の方が良い土地情報を取得できることでしょう。

ただし、不動産会社によっては売れ残り物件を紹介してくることもあります。

そのため、下記の注意点と着目点を理解してから選ぶようにしましょう。

注意点

着目点

場所の確認

需要がある場所なのかを確認する

工事内容を想定する

余計な工事費用が必要ないかを確認する(擁壁工事や解体工事がないか)

価格の確認

相場より掛け離れていないか

工事費用の相見積もりを取る

駐車場経営をする土地に目星が付いたら、外構工事費用の見積もりを取りましょう。

見積もりは必ず1社のみならず、2社3社依頼するのがおすすめです。

外構業者によっては、競合相手がいないと分かれば、多額の工事費用を見積もりしてくることも考えられます。

金額の妥当性を確認するためにも、複数社相見積もりを取るようにしましょう

収支計算を行う

駐車場経営を始める際、投資した金額はどれくらいで回収できるか気になる方も多いはずです。

そのため、収支計算は必須です。

月の駐車場料金を決め、何年で回収できるかを検証してから購入しましょう。

しかし、収支計算をする際、稼働率100%での計算は危険です。

利用者が解約することも検討して計算しましょう。

注意点

着目点

稼働率100%で計算しない

需要が高いエリアでも、稼働率50%前後で計算する

買付申込書を提出する

収支計算も終わり、駐車場経営として成り立つ事業と分かった後は、不動産会社に買付申込書(購入申込書)を提出します。

買付申込書とは、売主に対し、不動産を購入したいという意思を書面にしたものです。

買付申込書には「住所」「氏名」の他に、「購入希望金額」「手付金」「特約事項」を記載します。

購入希望金額は、売り出ししている価格より安く記載して問題ありません。

ただし、その金額に売主が納得しなかった場合は白紙になりますので、あまりに低すぎる金額は控えましょう。

また、特約事項には必ず融資条件付と記載してください。

万が一融資が通らなかった場合、白紙になるという意味です。

記載しなかった場合手付金などが戻ってこないケースもあるので注意しましょう。

注意点

着目点

希望金額を記載する

一般的には、売り出し価格の一割減の価格、もしくは端数を切った価格を記載

特約事項を記載する

必ず融資条件付と記載する

手付金の確認

一般的に、100万円もしくは、価格の1割ほどを記載

銀行融資打診をする

金融機関に融資の事前相談を行いましょう。

融資の相談をする際は下記の5つの書類、

  • 土地資料(売買価格がわかるもの、登記簿謄本、路線価図など)
  • 工事見積書
  • 源泉徴収票3年分
  • 身分証明書
  • 住民票

は必ず必要となります。

金融機関によっては必要書類が異なりますので、確認して用意しましょう。

書類が揃えば、1週間から2週間前後で審査結果が出ます。

駐車場経営の融資基準としては、その事業性だけでなく、投資する方の年収もポイントになります。

年収が高く、勤続年数も長ければ、安定した収入を確保できている方と判断され、融資審査のプラス材料となるでしょう。

売買契約をする

融資の事前審査が完了し、金融機関も前向きな見解である場合、土地の売買契約を行っていきます。

売買契約をする際は、手付金や仲介手数料の半金、印紙代金などが必要となります。

項目

必要金額

手付金

買付申込書に記載した金額

仲介手数料

(売買価格×3%+6万円)×消費税の半金

印紙代

売買代金によって異なるが、数万円前後

上記の費用は金融機関からの融資ではなく、自身の預金から支払う場合があります。

仲介手数料は、売買契約時に半金分を不動産会社に支払うケースもあれば、決済時に全額支払うケースもあります。

必ず不動産会社に確認しておきましょう。

印紙代金に関しては、売買する価格によって異なります。

下記の表は2022年1月時点の売買契約時の印紙代になりますので、参考にしてください。

契約金額

本則税率

軽減税率

100万円を超え 200万円以下のもの

400円

200円

200万円を超え 300万円以下のもの

1千円

500円

300万円を超え 500万円以下のもの

2千円

1千円

500万円を超え 1千万円以下のもの

1万円

5千円

1千万円を超え 5千万円以下のもの

2万円

1万円

5千万円を超え 1億円以下のもの

6万円

3万円

1億円を超え 5億円以下のもの

10万円

6万円

5億円を超え 10億円以下のもの

20万円

16万円

10億円を超え 50億円以下のもの

40万円

32万円

50億円を超えるもの

60万円

48万円

引用:https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/12/03.htm

なお、上記の費用が支払えない場合、売買契約は不成立となりますので、かならず用意できるか確認しておきましょう。

また、売買契約した後に融資の認可が下りなかった場合、買付申込書に記載した通り、契約は白紙となり、手付金や仲介手数料は返金されます。

銀行と契約する

売買契約を締結した後は、金融機関と金銭消費貸借契約を締結します。

金銭消費貸借契約とは、金融機関からお金を借りるという契約です。

契約時には金銭消費貸借契約の印紙代金が必要です。

印紙代金は借りる金額によって異なり、下記の表は2022年1月時点での印紙代金になります。

記載された契約金額

税額

100万円を超え 200万円以下のもの

200円

200万円を超え 300万円以下のもの

500円

300万円を超え 500万円以下のもの

1千円

500万円を超え 1,000万円以下のもの

5千円

1,000万円を超え 5,000万円以下のもの

1万円

5,000万円を超え 1億円以下のもの

3万円

1億円を超え 5億円以下のもの

6万円

5億円を超え 10億円以下のもの

16万円

10億円を超え 50億円以下のもの

32万円

50億円を超えるもの

48万円

引用:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7108.htm

決済をする

金融機関との契約も完了した後は、土地の決済を行います。

決済日に金融機関から買主に入金となり、その後売主へ支払います。

その手続きをするために、主に金融機関で決済することが多いです。

また、決済時には仲介手数料の残金の他に、所有権移転登記を委託する司法書士へ手数料も支払います。

売買金額によって手数料は異なりますが、20万円から30万円前後でしょう。

工事を開始する

土地の所有者が変わり、自身の土地となった後は、駐車場の工事を開始していきます。

工事をする際は、騒音の迷惑をかけてしまう恐れもあるため近隣に挨拶を行っていた方がよいです。

将来的には利用者になってくれる可能性もあるでしょう。

不動産会社に管理委託をする

工事が開始したのと同時に不動産会社に管理委託契約を締結します。

締結した後は、利用者募集をしてもらい、駐車場経営がスタートします。

この際、注意することは、不動産会社の管理手数料です。

一般的に不動産会社に管理委託した場合、5%の管理手数料を支払います。

しかし不動産会社によっては管理手数料が異なるので、契約書をしっかり確認しておきましょう。

初期費用0円で始められるコインパーキングとは

コインパーキング経営は初期費用0円で始められる可能性がある駐車場経営です。

もちろん土地代金は自己負担となりますが、工事代金をコインパーキング会社が負担してくれるケースもあります。

コインパーキング運営会社が、場所を確認し、需要が見込めるという判断を下した場合などが条件です。

運営会社によって条件は異なりますが、場所が良いところであれば前向きに検討してくれますので、相談して見ましょう。

まとめ

土地を所有していない方が駐車場経営を始めるまでの流れと注意点を解説してきました。

土地を探し始めてから、駐車場経営を開始するまでには、さまざまな業務があります。

次に何をしたらよいかわからなくなり、途中であきらめる方も多いです、

さらに、注意点を意識せず失敗している方もいらっしゃいます。

本記事を読んで、駐車場経営を始めるまでの流れを理解し、失敗しない経営にしていきましょう。