駐車場経営は初期費用も少なく、土地さえ所有していれば手軽に始められるため、不労所得方法の中でも人気が高いです。

しかし、税金の数も多く、常に収支シミュレーションを行っていなければ赤字経営になりかねません。

では一体どのような税金があるのでしょうか。

また、駐車場収入に対してどれくらいの税金が課税されるかも気になるのではないでしょうか。

今回ご紹介する内容は、駐車場経営の税金の種類と節税対策の方法です。

この記事を読むことで、駐車場経営での支出の部分を理解し、節税しながら運用できるようになるでしょう。

駐車場経営にかかる税金5選

駐車場経営には主に5つの税金、

  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 償却資産税
  • 所得税
  • 住民税

の納税義務がありますので解説していきます。

固定資産税

駐車場経営をされている方が支払う固定資産税とは、毎年1月1日時点の土地所有者に対して市町村が課税する税金のことを指します。

土地だけでなく、建物に対しても税率がかかり納税義務があります。

固定資産税は、固定資産税評価額×1.4%の金額が納税額です。

固定資産税評価額は、毎年固定資産税納税通知書に記載されている値になります。

売買により土地を購入された方は、前所有者から納税額を聞いておくことをオススメします。

それでも固定資産税評価額が分からない方は、敷地面積×固定資産税路線価にて、算出可能です。

固定資産税路線価とは、路線に面する標準的な宅地1㎡あたりの価格を表したものです。

路線価価格は全国地価マップで見ることができ、駐車場の道路の前に記載されている数値です。

https://www.chikamap.jp/chikamap/Agreement?IsPost=False&MapId=221&RequestPage=%2fchikamap%2fPositionSelect%3fmid%3d221

仮に固定資産税路線価が10,000円で、敷地面積が300㎡であれば、固定資産税評価額は3,000万円になるということです。

固定資産税評価額が分かれば、後は税率を掛けることによって固定資産税を算出できます。

都市計画税

駐車場経営の都市計画税は、市街化区域内に土地を所有している方が納税する税金です。

固定資産税同様、建物にも課税されます。

都市計画税は、固定資産税評価額×0.3%にて算出可能です。

固定資産税評価額は先ほど固定資産税で説明した数値と同じになります。

都市計画税の税率は一般的には0.3%になりますが、地域によっては0.2%や0.5%、もしくは都市計画税自体が存在しない場所もありますので、行政に確認してください。

償却資産税

償却資産税は駐車場経営を始める際に投資した設備に対して課税される税金です。

償却資産評価額に1.4%をかけた値が納税額となりますが、税率は地方によって異なりますので、こちらも行政に確認しましょう。

償却資産評価額はその設備によって減価率が設定されており、以下の計算方法に算出できます。

  • 駐車場経営を始める前の年に取得した資産の場合
    償却資産評価額=取得価額×(1-減価率×1/2)
  • 2年目以降の償却資産評価額
    償却資産評価額=前年度評価額×(1-減価率)

設備によって対応年数も異なるため、減価率も変動するので注意しましょう。

所得税

駐車場経営でも会社員の給与同様に所得税は課せられます。

1月1日から12月31日までの1年間に得た駐車場収入から経費を差し引き、税率を掛けた額を納税します。

以下の計算方法に算出できます。

  • 駐車場経営の所得税
    (1年間の駐車場収入-1年間の経費)-所得控除×税率

下記の表は所得に対する税率と控除額になります。(2022年1月時点)

所得税の速算表

課税される所得金額

税率

控除額

1,000円 から 1,949,000円まで

5%

0円

1,950,000円 から 3,299,000円まで

10%

97,500円

3,300,000円 から 6,949,000円まで

20%

427,500円

6,950,000円 から 8,999,000円まで

23%

636,000円

9,000,000円 から 17,999,000円まで

33%

1,536,000円

18,000,000円 から 39,999,000円まで

40%

2,796,000円

40,000,000円 以上

45%

4,796,000円

引用:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2260.htm

駐車場所得が少ない場合、税率は低くなりますが、所得が増えるほど税率は高くなる傾向が見てわかるでしょう。

駐車場経営をされている方の多くは、経費をうまく利用し、少しでも所得納税額を減らすようにしております。

住民税

住民税は1月1日時点の住所地で課税される地方税です。

地方によって税率は異なるものの、おおよそ10%前後になることが多いでしょう。

住民税の計算は所得に対して課税されます。

そなわち、1,000万円の所得であれば、住民税は100万円になるということです。

シミュレーションを用いて税金計算

5つの税金を理解した上で実際に納税額を計算してみましょう。

条件は下記の通りです。

敷地面積

330㎡(100坪)

固定資産税路線価

50,000円

駐車可能台数

10台

1台あたり駐車場料金

10,000円

月の経費

7,000円

初期設備費用(取得費)

4,000,000円

償却資産の耐用年数

10年

減価率

0.897

  • 固定資産税の計算
    330㎡(敷地面積)×50,000円(固定資産税路線価)=16,500,000円(固定資産税路線価)
    16,500,000円(固定資産税路線価)×4%(税率)=231,000円(固定資産税)
  • 都市計画税の計算
    16,500,000円(固定資産税路線価)×3%(税率)=49,500円(都市計画税)
  • 償却資産税の計算
    4,000,000円(取得費)×(1-897×1/2)=2,206,000円(償却資産税評価額)
    2,206,000円(償却資産税評価額)×1.4%(税率)=30,884円(償却資産税)
  • 所得税の計算
    10台×10,000円×12か月=1,200,000円(年間収入)
    7,000円×12か月=84,000円(経費)
    1,200,000(年間収入)-84,000円(経費)=1,116,000円(年間所得)
    1,116,000円(年間所得)×5%(税率)=55,800円(所得税)
  • 住民税の計算
    1,116,000円(年間所得)×10%(税率)=111,600円(住民税)

上記をまとめると、

固定資産税

231,000円

都市計画税

49,500円

償却資産税

30,884円

所得税

55,800円

住民税

111,600円

合計

478,784円

固定資産税路線価によって、固定資産税の納税額は異なるものの、年間収入120万円に対し、約40%が税金で支払わなければならないことがわかります。

駐車場経営で出来る節税対策の方法2選

さきほどのシミュレーションにより、駐車場経営には大きな納税額を支払う必要があることがわかりました。

しかし、もちろん納税額を軽減できる方法もありますので紹介していきます。

小規模宅地特例を利用する

小規模宅地特例とは、駐車場経営している土地の固定資産税を6分の1、もしくは2分の1にすることができる軽減処置です。

小規模宅地特例をするには、「アパートの駐車場にする」もしくは「アスファルト舗装をする」ことが条件です。

アパートの駐車場にする

賃貸住宅やマンションなどと一緒に使用することにより、住宅用地とみなされ、6分の1にすることが可能です。

しかし、アパート経営をしている事が条件ですので、駐車場経営だけの方は該当しません。

アスファルト舗装をする

駐車場をアスファルトなどで舗装することにより、200㎡までの固定資産税は2分の1となります。

200㎡以上に関しては、軽減処置はありません。

先ほどシミュレーションでは固定資産税は231,000円でした。

しかし、アスファルト舗装をすることで下記の計算で軽減可能となります。

  • 200㎡(軽減敷地面積)×50,000円(固定資産税路線価)×1.4%(税率)×1/2=70,000円
  • (330㎡-200㎡)×50,000円(固定資産税路線価)×1.4%(税率)=91,000円

合計した161,000円が固定資産税になります。

コインパーキング経営などでアスファルト舗装をした場合も軽減対象になりますが、未舗装の砂利や土のままの場合、小規模宅地特例は対象外となりますので注意しましょう。

青色申告(確定申告)できるか確認する

青色申告することによって所得から控除額を差し引くことが出来ます。

不動産収支を細かく記載し、事業的規模に該当することにより、所得から65万円を控除することが可能となり、所得税の節税につながります。

しかし、青色申告するには条件があります。

基本的に、所有している不動産の数は5棟10室以上が条件です。

駐車場経営だけの条項はありませんが、過去の審理専門官情では、駐車場の貸付5台分で貸室1室に相当する判定がされたため、おおよそ50台前後運用して収入を得ていることが必要となります。

駐車場だけでは青色申告は難しいですが、賃貸住宅などを多く所有している方は、青色申告することが可能となります。

まとめ

駐車場経営の税金の種類と節税方法を解説してきました。

駐車場経営は不労所得として人気が高いですが、5つの大きな税金を毎年支払っていかなければなりません。

そのため駐車場の空車が続いた場合、赤字経営になることも考えられるでしょう。

節税方法を2つ解説してきましたが、アパート経営との連携が大切となってきます。

駐車場経営だけをするのではなく、他の不動産収入と組み合わせることにより、節税が見込め大きな収入を確保することが可能となるでしょう。